歯周病に関するよくある質問
歯周病って何ですか?
歯を支えている歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)が溶けて失われる病気です。
主な原因は、歯の周囲の歯垢(プラーク)中の歯周病原細菌による感染性炎症です。がんや脳卒中などの全身的な病気を含んでも、歯周病は世界で最も罹患率の高い病気であり、日本でも全年齢層でほぼ2人に1人がかかっている病気です。年齢が上がるほどかかりやすい病気であることがわかっていますが、10代後半から発症することもあります(以前は若年性歯周炎あるいは侵襲性歯周炎と呼ばれていました)。
歯周病になったときのサインにはどのようなものがありますか?
歯ぐきの赤みや腫れ、出血や口臭などの症状が出ます。
一般的に歯周病はゆっくりと進行していくため、軽度だと自覚することが少ないのが特徴です。
歯ブラシのときに出血したり、しなかったりするのはなぜですか?
歯肉の炎症の進行程度やその日の健康状態によって出血の程度が変わるからです。
一度でも出血に気づいたならば、早めの受診をお勧めします。
歯ぐきが腫れたのですが、しばらくすると治りました。歯周病でしょうか?
歯ぐきが腫れたのは炎症があるためです。
ゆっくりと腫れていく場合もあれば、突然大きく腫れることもあります。歯ブラシのときの出血と同様に、炎症の進行程度やその日の健康状態によって変化するため、腫れが治ったとしても早めの受診をお勧めします。
朝起きたときに歯ぐきに違和感があるのですが?
夜寝ている時は、唾液の分泌量が減ってお口の中が乾きやすくなります。その結果、歯周病原細菌の活動性が増して、歯ぐきの炎症を引き起こすため、朝起きた時に違和感が生じることがあります。
さらに、自分では気づかない夜間の食いしばりや歯ぎしりによって、歯と歯ぐきへの負担が増えて、朝起きたときに歯ぐきに違和感を引き起こしてしまうことも多いです。この症状も歯周病のサインですので、早めの受診をお勧めします。
口臭が気になるのですが?
口臭を自分で気づくことは少ないのですが、ティッシュで舌の上や歯ぐきの近くをぬぐってみて下さい。ティッシュから生ごみのような腐った臭いがする場合は歯周病の可能性があります。
歯周病は治るのですか?
残念ながら完治という言葉はあてはまりません。
つまり歯周病になる前の状態に完全に戻すことはできないということです。
でもご安心ください。歯周病の進行を食い止めて炎症のない健康な状態に改善し、それを維持して美味しい食事を摂っていくことは可能です。
どうやって歯周病かどうかを確かめるのですか?
お口の中の状態を目で見て(視診)、歯と骨の状態を確かめて(レントゲン撮影)、歯ぐきの引き締まり状態を触れて確認します(歯周ポケット検査)。これらは、歯周病の程度や進行状態を診断していくためのものです(病態検査)。
これらの検査で、歯周病かどうか、またその程度を診断します。
広瀬通り歯科クリニックでは、さらにいままでのご自身のお口の経過やご家族の状況を確認した上で(問診)、どのような悪玉菌が存在し、善玉菌が減っていないかどうかの検査(歯周病原細菌検査)と、全身状態の確認(血液検査)、噛み合わせの検査などを付け加えます。これらの検査(病因検査)を行うことで、治療方法のみならず歯周病が再発しないための是正策(予防策)を考えていきます。
歯周病の治療方法は?
まずは歯周基本治療と呼ばれる、現在の歯ぐきの炎症を改善するために、炎症を引き起こしている歯ぐきの周囲の歯石(歯周病原細菌の塊り)や歯の付着物を除去していきます。同時に患者さんご自身での歯ブラシ習慣や方法の改善を図っていきます。
歯周病の進行に影響する喫煙習慣の改善、噛み合わせの是正や、歯ぎしりへの対応、医師と連携した全身疾患の改善も必要となります。
これらの歯周基本治療に加えて、歯ぐきや周囲組織(歯槽骨など)の再生を目的とした歯周外科処置を行うこともあります。
歯科医院に行ったのですが、抜いた方がよいと言われました.歯周病の治療をしても歯を残すことはできないのでしょうか?
歯を支える骨が少ない、あるいは全く無くなってしまったり、歯そのものが割れていたりすると、その歯を保存することが困難な場合があります。
ただし、歯科医院それぞれで下した診断や取り扱う治療方法が異なることもありますので、セカンドオピニオンを活用してみて下さい。
広瀬通り歯科クリニックでは、専門的知識を生かしてご自身の歯をできるだけ保存していく手段を考えていきます。
歯周病は飲み薬や塗り薬で治りますか?
飲み薬や塗り薬のみでは治りません。
歯周病を発症させる細菌はお口に定着した常在菌です。歯周病はこれらの常在菌の病原性が高まること(高病原性)によって発症します(ディスバイオーシス)。歯周病治療は細菌の病原性を低下させること(シンバイオーシス)が目標で、細菌を失くすことではありません。飲み薬や塗り薬などの抗生物質、消毒薬だけでは高病原性を低下させることはできず、仮に99%殺菌できるような消毒剤があったとしても、残った1%の細菌が増殖して元に戻ってしまいます。
最新のブルーラジカルで歯周病は治りますか?
ブルーラジカルのみでは治りません。
ブルーラジカル治療は、歯周病治療器「ブルーラジカルP-01」を用いた治療方法で、3%過酸化水素水を歯周ポケット内に注入して青色レーザーを照射することにより歯周病原細菌を殺菌し、歯周病の進行を一時的に止めるための有用な手段の一つです。しかし、前に述べたように歯周病治療は細菌の病原性を低下させることが目標で、殺菌することは一時的な消炎効果が得られるに過ぎず、再発を繰り返す結果となります。
歯周病治療はさまざまな治療アプローチを併用して行っていきます。
歯ぐきが下がってきた(歯肉退縮)のですが、治りますか?
残念ながら自力で歯ぐきを戻すことはできず、外科手術を行うことによって治ります。
歯周形成外科と呼ばれ、ご自身の歯ぐきを移植する手術(歯肉移植術 FGG、結合組織移植術 CTG)などが必要となります。後述する歯周組織再生治療が必要な場合もあります。
前歯の間にだんだんとすき間が開いてきたのですが、治りますか?
治ります。
歯周病の進行により、歯周組織と呼ばれる歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)などが減少して元々の歯の位置が移動すること(歯の病的移動)により、歯にすき間が開いてくることがあります。この場合、歯ぐきの炎症の改善(歯周基本治療)を行うことにより歯の位置がある程度戻って、歯と歯のすき間が減ります。
歯の位置が適正でなければ、歯周病の改善が得られないことが多いため、歯周基本治療のうえで歯科矯正治療を行うことも多いです。
歯周病の外科手術って何ですか?
大きく分けて、①歯周ポケットを除去するもの、②歯を磨きやすい環境にするために歯ぐきや骨(歯槽骨)の形態を整えるもの、そして③歯ぐきの付着と骨(歯槽骨)を再生させるものがあります。
歯周基本治療を行なった後に計画されるものですが、全ての症例で必ず行うものでありません。
大きな手術ではなく、1〜2時間で終わる小手術にあたるもので、局所麻酔のみで行うのが一般的です。手術後は縫合をして、包帯に相当するパックを付着する場合もあります。
歯周病の再生治療って何ですか?
歯周病によって失われた歯ぐきの付着と骨(歯槽骨)を、元々の状態の5割〜8割程度まで回復させる外科的治療のことです。
ご自身の歯ぐきや骨(歯槽骨)、結合組織を移植したり(CGF)、専用のお薬(エムドゲイン、リグロスなど)や人工骨、人工膜を用いて再生を促していきます。組織はゆっくりと再生し続け、成熟するのに2年以上はかかります。
どんな場合でも歯周病の再生治療の効果がありますか?
再生治療の適応となる状態(ケース)は限られます。
主に、歯を支えている骨(歯槽骨)がくさび状に失われたケースが適応となります。また、患者さんの全身状態、歯周基本治療の効果判定などの条件によって、再生量が大きく左右されます。
歯周病治療にはどれくらいの期間がかかりますか?
歯周病の程度と通院頻度、患者さんの治療への協力度によりますが、歯ぐきの炎症を改善し、ブラッシング方法を身につけていただく歯周基本治療に数ヶ月程度かかります。
その後必要であれば歯周外科治療が行われ、その経過観察とメンテナンスで1ヶ月〜3ヶ月に一度程度の通院が必要です。
歯周病は何歳ころから気をつければ良いですか?
10歳代後半から20歳代からです。
30歳代以上の3人に2人が歯周病という統計調査と、10年以上かけて気付くことなくゆっくりと進んでいくのが歯周病の特徴であることを考えると、10歳代後半から歯ブラシなどで歯垢(プラーク)を除去する習慣を身につけておく必要があるでしょう。
10歳代後半から急速に進行していく歯周病(以前は若年性歯周炎、あるいは侵襲性歯周炎と呼ばれていました)もあることから、何らかの症状に気づいたならば、早めの受診をお勧めします。
どんな歯ブラシが良いですか?
万人に適した歯ブラシというものはありません。
患者さんそれぞれでお口の状態(歯並びや大きさ、歯ぐきの炎症程度)が違うので、歯ブラシの大きさや硬さ、ブラシの種類や角度などは患者さんそれぞれによって、また同じ患者さんでも歯周病の治り具合によって適した歯ブラシが変わってきます。
広瀬通り歯科クリニックでは、日本歯周病学会ならびに日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士が常勤しており、歯磨きコンシェルジェとしてそれぞれの方に適した歯ブラシや補助清掃道具、歯磨き粉を、患者さんと一緒にお選びしています。